豊かな表現力は豊富な言葉から
考える力、表現する力をつけるためには、考えたり、表現する際に使える言葉をどれだけたくさん持っているかだと思います。
使える言葉が少ないと当然思考する際や表現する際に、限界が出てくると思います。
例えば英語で日本語から英文を作る際に、単語を知らないために英文が書けなくなった経験がある人は多いのではないかと思います。
これは、日本語においても同じだと思います。
ただ、日本語の場合は英語ほど知っている言葉が少なくないために、英語ほど困ることは少ないのだと思います。
しかし、学年が上がってくると考える内容や表現する内容もレベルが上がってきます。
そこで、初めて考えがまとまらなくなったり、表現できなくなってくるのではないでしょうか。
実施に中学生になると記述式の問題が増えて、答える内容は分かっているのにどう表現していいか分からないという言葉をよく聞きます。
その子に表現できない理由を聞いていくと、どう書いていいか分からないと言う子が多いのです。
つまり、どんな言葉を使って表現していいか迷っているのです。
私は言葉が足りない子どもに、なぜ言葉が足りないと困るかという例えに絵を描く際に使う色を使って説明していきます。
「青の仲間の色を言ってごらん」
と言うと、大部分の子どもが「青」「水色」「空色」を言うことができます。
しかし、知っている子は「瑠璃(るり)色」「群青(ぐんじょう)色」「浅葱(あさぎ)色」「藍(あい)色」と青の仲間の言葉をどんどん言ってくれます。
当然の絵を描く際には、たくさんの色を知っている子は微妙に違う青の違いを表現できるということになります。
国語でも同じだと思います。
たくさんの言葉を知っていれば、いろいろな表現ができるようなると思います。
では、言葉を増やすためにはどうすればいいかというとやはり読書が一番です。
読書を通して言葉に接して、その言葉を自分の中に吸収して、使えるようにすることが表現力を豊かにする一番の方法だと思います。
因みに電子書籍と紙の書籍では、どちらが言葉を覚えやすいかというとイギリスのレスター大学で2003年にパソコンと紙で文章を読ませた研究によれば、パソコンで文章を読んだ人は、忘れやすい「短期記憶」に頼っていたそうです。
しかし、紙の書籍を読んだ人は知識を「長期記憶」に蓄積して理解するので、答えを出すのも早かったそうです。
「短期記憶」は情報を短時間保持する貯蔵システムで、「長期記憶」とは大容量の情報を保持する貯蔵システムで、一旦長期記憶に入った情報は消えることがないといわれています。
だから、言葉を増やすためには紙の書籍を読んで、「長期記憶」に保存することが一番いいのです。